尚人は子猫を学ランのポケットに入れていた。

マジか。
でも子猫落ち着いてる。凄い。

感心していると焼きそばパンを頬張った暁人に話しかけられた。


「そういえば、鈴ちゃんって何者なん?サッパリ分からんのやけど。」


またそれか。
さっき龍と話したよー。


「そうそう!俺等頑張ったのに」

「何一つ分からないんだもん!」


流紀と流斗が便乗した。

「俺………ハッカー…なのに………。」


尚人まで……。

いや、高校生のハッキングでお父さんのブロックを破れるわけないからね。


「そういうワケだ。眼鏡外せよチビ猫。」


龍の言葉の脈絡の無さにビックリした。


『ごめん、龍。意味不明。』


何が“そういうワケ”なんだろう。

私の正体と眼鏡に何の関係が……。


「いいじゃねーか。どうせダテなんだから。」


龍がレンズをコツンと叩いた。

ちょ、レンズ汚れるってば。
視界が一部分だけ白いんだけど!!


『……そうだけどさぁ。』


龍が私に助けられたことあるなら私の顔は知られてるわけで…。