「そんな泣かなくても、みーちゃんの事好きなのやめたりしないよ?」




成宮くんは子供をあやすように背中をさすってくれた。




「だってみーちゃん、俺の事好きじゃん。大好きじゃん」




そうなのかな?


………、じゃないよ。




認めてはいけないと

自分に言い聞かせて
境界線を引いて


この気持ちを押し込んだのは、私。




本当はずっと気付いてた。


ずっと知ってたんだよ。





「…みーちゃんが素直になるおまじない」




そう言ってキスをされた瞬間


込み上げてきた言葉を吐いた。




「…好き。」




不覚にも震えてしまった二文字。




でも、もう戻れない。



認めてしまった以上、引き返す事なんて出来ないよ。





「うん、知ってる」


「…もっと照れてよ」


「十分、参ってるけど?」




ほらね、と引っ張られた手で胸を触ると


成宮くんの心臓は細かく脈を打っていた。





「みーちゃんの心臓はどうかな〜」


「隙あらばセクハラする癖どうにかしてよ!!」





軽蔑されるより恐いもの。


それは彼を失うこと。





体裁より立場より大事なもの。



それは…成宮くんだよ。