それから私たちは妖魔界の中心にそびえ建つ城へと急いだ。

空には薄らと満月が顔を出す。


「あの月がちょうど城の真上にきた時、牢の鍵が開けられることにっているんだ」

「……父さんのしたことを責める気はない。だけど私……なんて言ったらいいのかな」

「そんな固く構えることもない。いつもの林檎でいいと思うよ」



胸のドキドキが止まらなくなっていた。
こんな緊張することは久しぶりの感覚だ。


私たちやっと城の中までは、紅皇のおかげですんなりと潜入することができた。





「ここが地下の牢とこの城をつなぐ入口だ」

暗くてじめじめとして空気。
その中で厳重に閉ざされた扉には錆ついた鎖が何重にも巻きついていた。

「ここで待っていればいいのね」

「ああ……もうすぐあの扉が開かれる時間だ」



その数分後、紅皇のいう通り鍵を持った男が現れたのだった。