僕は唖然とした。

いくら死神だからって、初めて会った人に対する第一声がそれかいと。

しかし気がつけば僕は首を横に振っていた。

まぁそうなるだろう。

僕はまだ死にたくなかったし、何より彼女の手に握られたそのやたらゴツい鎌が恐怖心を煽った。

死にたいと言ったらあの鎌でスパッとやられてしまうのではないかと考えると、たまらなかった。
そんな死に方はゴメンだ。


「え…死にたくないの?」


彼女は驚いていた。

僕は彼女がなぜ驚いているのかわからなかった。
いくら最近自殺する人が多いからって、急に死神に出てこられて「死にたい?」なんて言われて「はい」と答える人のほうが少ないだろう。

彼女は手に持っていた鎌を横に置き、僕に近寄ってきた。

言い忘れてたけど、彼女は金髪のショートで目はくりっと大きい。
顔は…一言で言えば、可愛かった。

そんな可愛い女の子が僕の顔をじっと見つめてくる。
僕は改めて可愛いなと思った。


「えっと…死にたいからあたしを呼んだんでしょ?」


僕は死神を呼んだ記憶はなかったので否定した。


「え、うそ、じゃあ人違い?」


「ええ、多分…。僕は誰も呼んでいませんよ。」


「うっそー!最悪…来るトコ間違えたわ…。」


死神さんは大層落ち込んでいらっしゃるようだった。