箒をギュッと握る。

痛いくらいに、強く。






「そろそろ掃除終わりやでー」


「悠介、」


「ん?誰か下におるん?」






後ろから声を掛けられ、紫織と共に振り向く。

そこには雑巾を持った悠介がいて。




再び窓に視線を戻すと、尚輝はもういない。

まるで初めから居なかったみたいに。









「誰もおらんよ」









微笑み、悠介に箒を渡して。




まだ私自身混乱している。

尚輝が本当に龍の兄なのかって。








「え?なんで箒?」


「代わりにロッカーに入れといて」


「あっ、あたしのもっ」


「はぁ?!」









休みが明けたら絶対問いただす。


だって龍の過去から家族なんて、信じられへんもん。









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