どうして家に帰って来たのかというとね……。


土曜日に、決心したことを伝えるため。



最初は大学で言うつもりだったんだけど、講義はなくなったし……女の子達が陸を探してたから、ゆっくり話せないと思った。


だから、帰って来たんだ。


幸い……じいちゃんは明後日まで帰って来ないし、繭ちゃんもお父さん達の仕事について行っちゃったし。

今夜は、夜中に帰るって今朝聞いたから。


そういうことで、この家には陸とふたりっきり。

ゆっくり話すなら、良い場所だよね?


陸も今日は「仕事なし」って言ったから……時間はある。

よし。


「……ねぇ……陸?」

「あ?」

「ちょっと話があるんだ。いい?」


そう言って、ひざ枕をしてる陸の頭を撫でた。