『九条 鈴(クジョウ リン)。来ましたー…。』


「なんか覇気がないわね……。」




寝起きだからしょうがない、というのは言わなかった。



また般若サマとか召喚されたら困る。





とりあえず、お母さんの隣に座った。




『で、話って?』


「うーんとねー…。男子校に入学してほしいの!」


拳を軽く口元に当てて微笑み、語尾にハートがつきそうな言い方をするお母さん。



『……男子校?』


「そう!お母さんの弟が理事長をしているんだけどね、全額免除にしてくれるんですって!」




私の家は、別に貧乏ではない。
どちらかというと裕福だ。



しかしこのお母さんは


「やっぱり節約こそ主婦の醍醐味よねー。」


と、まあ節約第一主義なのだ。
言い換えればお金にがめつい。




『男子校か……。良いよ別に。』


私が言うと



「あら、ホント!?さすが鈴ちゃんねー。」


お母さんは目をキラキラさせていた。