ゴミ捨て場の横にいたのは1人の女。
真冬だと言うのに薄っぺらい白のワンピースに、その上からこれまた薄っぺらいカーディガンを羽織っていて、素足にボロボロのサンダル。
全身びしょ濡れで、膝を抱えて座り込み、ガタガタと体を小刻みに震わせている。
黒く長い髪の毛先から雨の雫がポタポタと落ちていた。
街灯に照らされた顔は死人のように色白く、薄紫色の唇は寒さのせいだろう。
まるで血が通ってないみたいだ。
薄紫色の唇が体同様、小刻みに震えていて歯がガチガチ鳴っている。
俺は女の頭の上に傘をさしていた。
女がゆっくり顔を上げていく。
顔を上げた女はクリッとした大きな目で俺を見た。
瞬きするたびに、長い睫毛の先から落ちる雫が涙みたいで……。
顔を上げた彼女は、女と言うより、あどけなさの残る幼い少女のようだった。
そんな彼女を見て、不覚にも胸が“ドキッ”としてしまったんだ。