「・・・な、」
「蒼以・・・」
口を手で押さえてあんぐりとする。
・・・一人を除いて。
「当たり前でしょ、人間は日々進化するの」
「まだあたしは誰のものでもない!だが、よく聞け頼。いつか、あんたらの可愛いあたしが、誰かのものになるときが来るんだよ」

その言葉には、唯一そっぽを向いていた拓真さえもあたしを見た。
「何」
「蒼以、いつからお前そんなんになった」
「あたしは元からこうだよ」
「違う、違う違う違う!白いワンピースでキャッキャ可愛く走ってた蒼以はどこ行った」

白いワンピースでキャッキャッ?
こいつ、幼児までにも手を出したか。

「知らないよ、どっかのちびっこじゃないの」
「ちびっこ?俺、ちびっこに手つけたっけ・・・」
「頼、それ犯罪だから」
あっけなく言うと、少し身を崩す。
そんなことよりも旬斗が気になる。
「蒼以、いいかよく聞け?旬斗はまだお前が好きだって言ってんだろ」
「・・・またその話?」
目を合わそうとするけれどそらされてしまう。
頼の悪いところ。

「旬斗は今でも蒼以のこと好きだと思う人ー」
と言うと、正座を崩し横になっていた和也、そして拓真までも手を上げた。
「な?違うって思ってるのはお前だけ」
言い返す言葉が見つからない。
「今のうちにハッキリさせとけ。お前は旬斗を、好きか嫌いか」
「好きでも、嫌いでもないよ」
「それが一番旬斗にとって傷つくんだよ、恋のひとつもロクにしたことないお前には分かんないだろうけどな」
少し馬鹿にされたような口調。
イラっとくる。頼の割るいとこその2。

「もう一回聞く。お前は旬斗のこと好きか嫌いか、どっちなんだよ?」
目を合わされる。
離すことが出来ないような、引き込まれそうな瞳。
「あたしは、」