「連れてきてくれ」

しばらくして、二人連れの男女がやって来た。

「お義父さん!?」

女性の方が、遺体にすがりつくと、大声をあげて泣き出した。

年の頃は50歳ぐらい。
丸顔でふっくらとした女性だ。

今日の今でなければ、人の良さそうな笑顔を浮かべてそうだった。

「父さん…」

男性は女性の横で立ち尽くしていた。

年齢は女性と同じぐらいに見えた。

細身で、やや面長の顔立ちは、遺体の老人とよく似ていた。

シワや白髪を増やしたら、区別がつかなくなるだろう。

「貴方のお父様に間違いありませんか?」

北島警視の言葉に、男性は力なくうなずいた。

そしてそのまま、ひざまずくようにして座り込むと、声をあげて泣き出した。