教科書やノート、筆記用具を片付けて、席から立ち上がった。

時間は昼メシ時。


どっかでメシ食うか。


頭の中で、これからの予定を考えていると……。



「杏樹ちゃん、また明日ね」

あの八重歯野郎が、ニッコリ笑って杏に手を振ってる。


―――ムカッ。


「うん、バイバイ」

微笑んで、手を振り返していた。


忘れてた。

野郎の存在。

さっさと帰れ、杏にくっつくな。

一瞬だけ睨み付ける。


俺の呪いが効いたのか、すぐに教室を出て行った。


周りの女たちをまきながら、杏が通るであろう場所の近くに身を隠す。



アイツが来るのを待った。