「前に約束したじゃん。飲みに連れて行くって」


「覚えててくれたんですか?」


「もちろん。ほら、ここ座んなよ」


そう言ってタケは席を移動し、要との間の席を一つ空けた。


「はい」


ゆずがちょこんと席に座る。


その瞬間、ゆずの髪が揺れ、ふわりと甘い香りが要の鼻をくすぐった。


砂糖のように甘く、それでいてレモンのように爽やかな―――


要の胸が、どきんと音をたてた。