飛び起きると背中にべったりと汗をかいていた。息が乱れている。カーテンの開かれた窓からは明るい陽光が差し込んでいて、あれが夢だと分かり私はほっと息をついた。

 私は目をこすると、枕元にある時計に目をやった。六時二十七分、アラームがなる三分前だ。

 けたたましい目覚ましの音に起こされるより目覚めは良いが、やはり今日も軽い吐き気がする。


 布団に横になったままあくびをしながら伸びをしてみる。しかし頭は全く覚醒せず、私は掛け布団をあごまで引き寄せた。まぶたを閉じると頭がぼうっとしてきて、心地よい眠気に襲われる。


 明け方に一度目が覚めたせいか、二つの夢を見たことを覚えていた。


 一つは美咲と喋っている夢。彼女の長い髪も、目の下にあるほくろも手を伸ばせば届くほどの距離にあった。


 そしてもう一つが中崎くんの夢だ。彼の瞳が脳に焼き付いて離れない。


 夢の続きを見たい、そう切実に願う。もちろん美咲の方の夢をね。中崎くんの夢の続きなんて絶対に見たくない。


 うとうとし始めたとき、時計が大音量で鳴り響き私を現実の世界へと引き戻した。