来たか。

入口を見なくても、誰が来たのかわかる。


「「「陸く~~ん」」」

「「「陸様~~」」」


女子達の甲高い声が、聞きたくなくても聞こえた。

あんな声、あたしは一生出せないね。

うん、気持ち悪くて出したくもないや。


たくさんの女子に囲まれた陸が、教室内を歩く。

もちろん、皆さんも動く。


陸が腰を下ろした場所を中心に、ドンっと女子達が周りの席に座った。


「ね~? ここわからないの~! 教えて?」

「私が先よ!」


すぐに始まる陸に対しての質問会。


「ちょっと待ってね、皆教えるから」


当の本人は、ニッコリと王子様スマイルを振りまきながら、対応してる。


かわいい女の子たちに囲まれてウハウハなのかな?

バッカみたい。

ヘラヘラしちゃってさ。



「りーくんは、あーちゃんの彼氏だよね?」

「一応ね」

「女の子いっぱいいるよ?」

「高校の時からだから、もう慣れた」


アハハと乾いた笑いをこぼして、満面の笑顔の陸を見つめた。