「お願い、誰にも言わないで・・・・」


すると、彼女の耳にかかっていた髪が落ちてくると同時に涙も落ちてきた。


「あたしが・・・・悪いの・・・・」


オレは何も言ってやれなかった。


本当は”虐待は、子供が悪いんじゃない。”


といいたかったはずなのに。


オレはいつの間にか皐月を強く抱きしめていた。


細い皐月の髪に指を通し、そして頭を優しく撫でた。

葵と同様、この子も大切にしたいと思った。