「そうか。

もしメールが送られてきたとしても、一人では開くなよ。

どんな細工がしかけてあるかわからないからな」


 念には念を。


 新田は藤堂にそう言い聞かせた。


 オルフェウスの文章を得るため、またオルフェウスに近づくために新田はサークルの会員登録をしたのだ。


 《セバス》というハンドルネームを使い、会社のパソコンから勝手に登録。


 誰かに知られれば文句を言われそうだが、家のパソコンで登録をして幸也に知られたら、また問題だ。