ベビーカーを引いた若い女性を見ると

嫌になる。


秋を奪った女じゃないかって。


ね、黒波?


「なんだよ?」


私を脅してきた男、黒波は隣に並ぶ。


「べつに」


私はそっぽを向く。



「それにしても俺がお前を脅したのに

お前は動じずに大塚が焦るとはな」



当たり前でしょ。


私は動じない。



「ねぇ」


私は黒波に向きなおった。



「せっかく私を捕まえたんだから


私を楽しませてよ?」




汚れた世界で


私は何を想う。





―END―