私の前の席の女が、私に声をかけてきた。

小柄なかわいい感じの…もちろんヤンキーじゃない普通の女だ。



「いや…そんな仕事してないけど…」


よくわかんない質問だな、こいつ。


「私、金子真理。

金困り(かねこまり)ってなんか最悪な名前でしょ?

よろしくね」

ぷっ………やべ

超ウケる



「あ…私は沢渡桃叶(さわたりももか)。

よろしく」


夜露死苦じゃないよ。

かわいく言ったよ。どうだ。


「桃叶って…ハ−フ?」



「あ…父親がカナダ人なんだ。

会ったことないけど」



あ…ちょっと重たい話しになっちゃったな…



「私も父親知らないんだ。
母子家庭。

離婚したおかげで、名字が母方になっちゃって。

で、『金困り』

まぁ、たしかにうちは貧乏だけどね」






こいつニコニコ笑って、重たい話サラッと言うな。


いいやつ…かも…



「桃叶って顔かわいいし、背が高くてスタイル超いいから、モデルじゃないかって、


ほら、廊下。


みんな桃叶見に来ているよ」




え………



びっくりして教室の入口に目をやると


『超かわいい−!!!』




わ、私の事???



マジかよ………