入ってきた会長の目が見開かれる。

薄暗い部屋の中だけど、会長に泣き顔を見られたらしい。

ベッドに座ってるあたしの隣に腰掛けた。


「……やっぱり連れてきてよかったな」

「え?」

「…こうやって眠れてないし、1人で泣いてるだろ?」

「………」


俯いて、涙を拭っていると、頭を抱き寄せられる。


「……お前が寝るまで一緒にいてやるから」

「~~~~っ……」

ポンポンと頭を撫でられた。
すがりつくように、会長に抱きつく。

「……一緒に寝て……?」

「………わかったよ」

優しい声での返事が聞こえたと思うと、会長に抱きしめられた。



会長に甘えすぎだとは、自分でもわかってる。

今まで、陸にしかこんなに甘えたことはなかったのに。

でも。


ここまでしなきゃ、自分が壊れそうだった。



そのまま会長と一緒に、ベッドへ倒れ込んだ。




少しずつ。

少しずつ。

言葉に出来なかったことが、あたし達を迷路へ誘い込んでいく。

お互いに、言葉の大切さに気づいた時には、もう遅かった。