ケータイ小説 野いちご

短編集*虹色の1週間



日曜日、午後3時30分。

この時間に、澤木クリニックの開業医・澤木康平が何をしているか、誰か当ててみてほしい。

・愛犬をドッグランに連れて行き、フリスビーを投げている
・両親の家を訪れ、縁側で冷茶をいただいている
・友人と屋内テニスコートで汗を流している
・海辺の別荘で、ブイヤベースの仕込をしている
・友人の画家の個展を見に画廊へ
・自宅でクラシック音楽を聴きながらも、医学辞典を読み研鑽を怠らない


残念。
今日に限っては、それらは全てハズレだ。

澤木康平は、働いていた。
もちろん、全国の大半の個人病院と同じく、澤木クリニックも土曜午後・日曜は通常、休診日である。
しかしヒトの体というのは正直で、
「あ、今日は日曜だから、明日具合悪くなろう」
というように融通が利くものではない。
そのような人体の切実な需要に応えるべく、高伊市医師会では市内の開業医が持ち回りで休日に診察を受け付ける、「休日当番医」の制度を設けていた。
澤木クリニックは、今日が休日当番医に当たっていたのだ。

ちなみに、最初に澤木康平の日曜日の姿を想像したとき、雨空を思い描いた人が果たしてどれくらいいるだろうか。

日曜日は雨が降らないなんて、誰が決めた?

お昼過ぎまでカンカン照りだった日差しが突然陰り、外は大粒の雨が降り出していた。





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