この人……誰だろう………?

陸の携帯に出てるってことは、あたしの名前も出てるはず。

あたしが知ってる人なら、こんな風に陸の彼女であることを確かめたりはしない。


「あの……陸は……?」

この人のことを聞きたかったけれど、最悪の答えを考えてしまいそうになる。

だから、陸のことを尋ねた。


《あぁ……陸?……今、シャワー浴びてるわよ》

「え………」

言葉に詰まった。

ウソだと思いたかったけど、電話の向こうから水音が聞こえてくる。

この人は、ウソを言ってない。


《陸に抱かれたことがあるなら、今の状況はわかるでしょ。お楽しみを邪魔しないでくれる?》


クスクスと艶やかな笑い声が聞こえた。


《さっさと別れた方が…傷が浅くて済むと思うけど…じゃあね元カノさん?》


通話を一方的に切られる。


携帯を握りしめたまま……その場に座り込んだ。