生暖かいものが、腕を伝う。


『…お姉ちゃん……』

「……っ……」


痛みで、声が出ない。


「吉川……っ…!?」


会長の慌てた声が聞こえる。


「大丈夫…ですから……」


落ち着かせるために…会長を見た瞬間、女の子の気配が消えた。


「あ………」


どんなに周りを見渡しても、あたし達2人しかいない。

………逃げられたか。



女の子がいた場所を見つめる。


あの子………。

悲しそうな顔してた……?



左腕から流れてる血を見た。


ちょっと深くやられちゃったかな。

術が間に合わなかったしね…。


また…じいちゃんに怒られる。


自分のケガを見つめながら、ため息をついた。