放課後、担任のさようならも聞かないうちに私は教室を出た。



思い切り開けた扉はまた壁にぶつかった。

誰もいない部室。



「優先輩…」


ロッカーの陰に隠れた新羅が、照れくさそうに顔を出した。


新羅の手に持たれていた下敷きには、私が書いたハートの5倍くらい大きなハートが書かれてあった。


「新羅…ごめんね。これからは、絶対に嘘つかない。もう新羅を裏切らない。」


差し伸べた右手に、新羅がそっと左手を添えた。