修二の額には汗が溜まり流れ落ちた。


悲痛な声を上げる無精髭を生やした男の右手には、力強く家族の写真が握られていた。


生きるために…


生きて帰るために…


生きてもう一度、子供に会うために…


生きてもう一度“家族”としてやり直すために…


無精髭を生やした男は激痛に耐えた。


汗と共に頬を伝う涙が床にこぼれ落ちた。


カランコラン。


血の着いた銃弾が床に転がった。


『はぁ…はぁ…取れた…』


修二は右腕で汗を拭い、安堵の表情を見せた。


激痛に耐えていた無精髭を生やした男は、意識をなくし静かに眠っていたのだった。