全力で開けた扉が壁にぶつかった。


部室には

誰もいなかった。



私を避けるように

新羅の姿は消えていた。



いつも遅くまで部室に残っていた新羅を思い出す。




まだ人のぬくもりが残る部室に一人。



壁の落書きも

床についた土も


もう 今しか見ること できないんだ。



引退して

卒業したら

会えなくなる。


このままじゃ、新垣先生だけじゃなく

新羅にも会えなくなる。




また忘れられていた新羅の下敷きに

落書きした。




油性の赤ペンで小さくハート…