この日、淳也は文房具屋にいた。しかし、小さい店内を、一周、二周、三周したところで、一度店を出てしまった。
「だぁ!もう、何買えばいいのかわかんねぇ!」
 するとそこへちょうど、同じクラスの友達がやってきた。彼の名前は大久保武瑠。勉強も、スポーツもそこそこの、中途半端なヤツだった。
「何やってんだよ、淳也!お前が文房具屋なんて珍しいな。熱あんじゃね?」
 からかって訊いてくる武瑠を、軽く叩く。
「んなわけねーだろ。勉強道具買いに来たんだよ!」
「じゃぁ、さっさと買おうぜ」
「ぉ、おう」