唇が離れると、おでこ同士をくっつける。


「なんで…ここにいること知ってたの?」

「ん…杏のことだから、そろそろ抜け出すと思って、ずっと見てたからな」

「ふ〜ん…さすが陸。何でも、お見通しだね?」

「わかんのは…杏のことだけだっつーの」


クスッと笑うと、また唇が重なった。

静かに目を閉じて、陸のされるがまま…優しいキスを受ける。

スーツの襟を少し握りしめた。


「………んっ……あ…」


次第に深くなり、漏れる声も増えてくる。


ずっと寂しくて、会いたかったから…今の時間が嬉しくてたまらない。

さっき会場内で会った時にも、すぐに抱き着きたかった。

お互いの状況を考えて、我慢したけど……やっぱり陸の腕の中が、1番安心できる。