『雨?』


修二は洞穴から顔をヒョイと出した。


外は激しいまでの土砂降りの雨が降っていた。


雨を見つめる修二は、ひしゃげたペンダントを右手に握りしめた。


『あの日も雨が降っていた…俺は人を殺してしまったんだ…』


修二はそう呟きながら自らの手の平を見つめ、そして土砂降りの雨の中に飛び出した。


天から激しく降り注ぐ雨が修二を容赦なく襲った。


『あの日もこんな感じだった…こんなに…こんなに冷たかった…』


修二の頬を雨混じりの涙が伝った。


『杏奈…』


修二は顔を俯けながら拳を強く握りしめた。


修二はただ雨に打たれたながら、ただ何かを考え込むように呆然と立ち尽くしたのだった。