屋上での出来事から1週間が経った。

さすがに、私と新羅の関係がおかしいことは誰もが気付いていた。



新羅は、部活に来ても、一切目も合わせようとしなかった。

そして、私が近付くと、するっとどこかへ消えてしまう。




部活を終えた後だった。

雨の後だったせいで、靴がどろだらけになった。

せっかく乾きかけていた校庭も、私達陸上部のせいで、足跡がくっきりと浮かび上がり、そこだけ水溜りができていた。


少し早く練習が終わったおかげで、まだ空はほんのり明るさを残していた。



「おい・・・ちょっといいか?」


片付けの手を止めて、空を眺めていた私に声をかけてきたのは・・・

新垣先生だった。



ちょっと緊張した顔がなんだかかわいくて、

久しぶりに新垣先生への『好き』を感じていた。


最近は、毎日新羅のことばかり考えていた。



「俺に、できること・・・ある?」


首の後ろを触りながら、新垣先生は小さな声でそう言った。