少女の問い掛けに、周りにいた彼女達は心底驚いた顔をする。



「由実ちゃん…知らないの?」

「うん……」


由実と呼ばれた少女は、小さくコクリと頷いた。



「あのね“帝”って言うのは―」

「3年にいる滝本陸先輩の別名なの」

「“滝本陸先輩”……?」

「そう滝本先輩!」

「でも…近くで見たことはないんだよね」

「私も!」

「私もだなぁ……」



数人の女の子達が頷く。



「ねぇ…なんで“帝”なの?」



“滝本先輩でもいいじゃない?”と由実は続けた。



「それは……滝本先輩が完璧な方だからだよ」

「完璧な方………?」



不思議そうにしている由実に対して、友達の彼女達はゆっくりと説明を始める。


「滝本先輩っていうのは――…」