全員が唖然としていた。

だけど一人を先頭に何人もの男が一斉に殴り掛かってきた。




バキッボコッ…!










「………さすが、だね」


美しく舞うようにたたかう沙南を見つめながらナツは呟いた。



「…あいつ、何モンだよ…!あれじゃあまるで…っ!」

「…拓眞の思ってる通りだ、あいつがAngelだよ」



「………っ!?」



夕日が落ちて夜になろうとしていた。


電灯に反射した沙南の髪の毛は美しく輝きながらなびいていた。




「…月明かりに金色の髪をなびかせ、

舞うように美しく凛とたたかう……


天使のようにキレイで近付きがたくAngelという異名を持つ伝説の女。


俺らがいつも憧れていた人だよ」



「………マジかよ…」




驚く拓眞を尻目にナツはボソッと呟いた。


「誰よりも強いけど、誰よりも寂しがりやで弱いんだよ……」


「…あ?何か言ったか?」


「ん、終わったみたいだ」



二人の見つめる先に

立っているのは、沙南だけ。




沙南はハァハァと息を切らしてナツたちのほうへと歩きだした。