その日の放課後、何となくチャペルに足が向いた。


雨上がりのゆるい日差しが、由緒あるレンガ造りの建物を照らしている。


暖かい色のブロックの一つを指先でなぞり、ロマンティックな言い伝えに思いをはせる。


透真に会えなくなって2日が過ぎた。


まだ、たった2日……。


あれからずっと、世界が全ての色を失ってしまったような虚しさを抱えている。


そして、心の中にポッカリと開いた空洞は、一秒ごとにその深さを増していくようだった。


―――透真に会いたい。


動物園へ行って、園長さんに透真の赴任先を聞くことも考えた。


けど、『さよなら』すら言わないで私の前から消えた人に、今さら会ってどうなるのだろう。


そんな相手が北陸まで追いかけてきたりしたら、迷惑に違いない。


―――やっぱり、お金を貯めて、年間パスの代金を返しに行くっていうのが妥当な作戦かな。


なんて……。


諦めきれていない自分が悲しい。