その夜、明奈を呼び出し、私の部屋で鳴沢先生のことを打ち明けた。


「先生が? マジで? なんか、信じられない」


私だって、これが他の生徒から聞いた話だったとしたら、信じられないだろう。


ましてや、明奈は鳴沢先生に本気で惚れ込んでいたんだから。


「やっぱり、信じられないよね……」


「信じるよ」


明奈が私の目を見つめて言った。


「由衣が自分から鳴沢先生を誘惑するはずないもん。それに、先生の部屋から飛び出してきた時の由衣は普通じゃなかった」


「アッキー……」


やっと本当の友達に会えた気がして胸が熱くなった。


「けど、どうするつもりなの? 鳴沢先生が由衣にセクハラしたっていう証拠はないし、訴えても、学校内で理事に逆らえる人なんていないでしょ? PTAだって動いてくれるかどうか……」


「わかってる。だから、私、先生に会って、はっきり言う」


「なんて?」


「涼宮さんの代わりにはなれないって。私には他に……す、好きな人がいるって」


「うそ。 誰? そんな人いるの? ずるいよ、由衣。黙ってたなんて!」


さんざん責められ、つつかれて、私は透真のことを白状した。


「由衣ってば、信じらんない。あんなにイヤなヤツだとか言ってたくせに」


私は明奈に
『ごめん』
『ごめんね』
と、何度も謝った。


「けど、私も経験あるかも。最初はキライだった相手を好きになったこと」


「ほんとに?」


「うん。小学生の頃だけどね」


恋愛経験の豊富な明奈は、私の未熟な恋心を笑っていた。