好きだ好きだと言ってるくせに、好きな人を守る事も出来ない。





気の効いた事も言えない。





胸に疼くまる鳴海さんを抱きしめる事しか出来ない。





「イヤよ………イヤよ……紗衣………紗、衣………。」





嗚咽混じりに何度も紗衣ちゃんを呼ぶ。





「紗衣………早く戻って来て………。」





自分がこんなに情けない男だったなんて……。





いつまでもこの体制じゃ辛いだろうと、今さら思いゆっくりと鳴海さんをベッドに寝かせる。





「お願い………離れないで…下さい。1人にしないでっ。」





流れ続ける涙のせいで潤む目。





そんなに懇願されちゃ離せない。




足が床につかないように、横抱きし膝に乗せて抱き締めた。





いつも気丈に振る舞う鳴海さんだけど本当は凄く脆かった。





色んな物を溜め込んでたんだろうな。