手を伸ばしても紗衣には届かない。





後少しで紗衣に手が届くのに……。





どんどん気が遠退いていき、目が覚めても眩しくてここがどこだかわからなかった。





「………さん。………海さん。鳴海さん、わかりますか?」





ぼんやりとした頭に響いてくる声。





目を横に動かすと白衣を着た男性と……看護師?





「ここは病院です。」





――――――…病院?





「鳴海さんは、体を強く打っておられ、左腕の骨は折れ肋骨にもヒビ、左足はヒビ右足は折れています。体のあちこちが傷むと思いますが、打撲ですんでいます。手術をしなくてよかったです。」





なに言ってるの?





そんな事どうだっていいのよ。





「………衣…こ……紗衣………どこ……。」





声が掠れてしまう。





「娘さんの方ですが……非常に危険な状態にあります。」