検索画面に
『象』『危険』
という、我ながらおかしなキーワードを打ち込んでみる。


いくつかのサイトを見て、小象と一緒にいる母象に近づくのが危険なことだというのははわかった。


けれど、子供を守ろうとする動物が凶暴になるのはありがちなこと。


やっぱり、透真の象に対する反応は過剰な気がする。


今度は
『象』『飼育員』
と、インプットしてみた。


すると、象を飼育している動物園で起きた事故に関する記事がズラズラッと並んだ。


こんなに?


色々な国でたくさんの事故が起きている。


そのほとんどが興奮した象に踏まれたり、象と壁の間に挟まれたりして飼育員が圧死するという悲惨なものだった。


ためしに、もうひとつキーワードを加えてみた。


『北山動物園』


いつも入り浸っている動物園の名前。


すると、数件の新聞記事が上がってきた。


『北山動物園で象が凶暴化。飼育員1名死亡、1名重傷』


ウソ……。


唖然として画面に見入っていた。


その記事は1990年、ちょうど20年前のものだった。


更に『1990年』とインプットして、記事を絞り込んでみた。


そしてわかった。


亡くなった飼育員……。


桜井真平さん……36歳……。


勤務歴17年のベテラン飼育員……。


まさか……。


まさか……。


これって、透真のお父さん?


だから、象が嫌いなの?


胸の奥がズウン、と重くなった。