「ままぁ…どちたの?」





いつの間にか、私の膝に手を突き顔を覗き込む紗衣がいた。





「なんでもないよー。」


「よしよししたげる。」





短い手を伸ばし、頭を撫でてくれる。





もう……可愛いんだから。





頭を撫で続ける紗衣をギュッと抱き締める。





「紗衣、大好き。」


「うきゃー!さえもまましゅきぃー。」


「紗衣はままの宝物なの。ずっとままと一緒にいてね。」


「たかもの?まま、さえといっしょー!」





そうだよ。





私の命より紗衣が大事なんだよ。




紗衣は宝物――――…宝物なのに……。





私には紗衣しかないのに。





紗衣―――…ごめんね。





まま、嘘つきだね。





紗衣…紗衣………





もう、1人は嫌なの―――。





まま、紗衣がいないと生きていけないの。