次に続く言葉は『恭介、座りなさい』。

めったに垂れないお説教を、母親がするときの口癖。

小さい頃から、これだけは反発できない…


仕方なく、すごすごとリビングのソファーに腰を下ろす。

いつもは、俺の正面に座って話をする母親が、なぜか隣りに座った。

それだけのことで、なぜか緊張が走る。


この人は、全くもって母親だって、こんなときにヒシヒシと感じる自分がいやになる。

いつもの、はっきりとした穏やかな口調で、母親は言った。


「恭介もね、彼女ができてさ、すごぉくその子が好きで、愛してて、セックスしたいって思うよね。

彼女も、恭介のこと好きで、したいって言うかもしれないよね」


ものすごいことを喋っているのに、母親は真面目な顔をしていた。

恥ずかしくて、茶化そうと思ったのに。

それを許さない厳しい目をしていた。


「お母さんは、ダメとは思わない。
15才だって、本気で人を好きになると思う。愛せると思う」


すでに、俺は耳を塞ぎたい気分。

だが、母親は止まらない。


「そりゃあ若いからさ、我慢できないとか、欲望のままとかもあるかもしれないさ。

好きだから、しょうがないさ。

お母ちゃんにも、そういう時期はあったさ」


いきなりざっくばらんな話し方になるとこを見ると、母親も恥ずかしいのかもしれない。

ぎこちなく、並んで座って。

顔を赤くしながらセックスを語る親子ってなんなのよ…