本日のわからないこと、ふたつ目にいこう。


気持ちいい軽快な音で眠りが冷めた。

あとから鈍い頭痛が伴い、顔をしかめる。


痛む後頭部を抑えて顔を上げると、やはり。

冷ややかな眼差しで俺を見下ろすネネの姿だ。


相変わらず、恐ろしい。

いや、迫力がある。



なんで彼女が怒っているのか、想像がつく。




問題は、何故、バレたんだ?




彼女は魔女としか思えない。
俺の行動を把握しすぎていて、なんでもお見通しなのだから。


「待って、待って。ゴメン、正直に言うわ」

両手を上げて、降参の意を示す。

「ネネ、なんでわかったんだ?」



彼女は持っていた重みある物体を机の上に叩きつけた。

ガン!!

教室に響き渡るその暴力的な音に、一瞬、教室内の人間は振り向いた。

そうか、一限は英語だったか。
その物体とは、もちろん辞書。

「顔に書いてあるからよ!!」



俺は思わず、両手で両頬を覆った。

「マジで?」

魔女は顔に浮かぶ文字を読み取るらしい。