仕事をしないといけないのはわかってる。





でも、紗衣との時間をもっと増やしたい。





「ままぁ、おいで。」





小さな手をぎこちなく上下に動かし、私を呼ぶ。





いつまで経っても動かない私に痺れを切らしたのか、プールから出て足に抱き着いて来た。





「あしょぼっ!」





顔を上げ、ニッコリ笑う紗衣にズキンと心が痛む。





紗衣から未だに“ぱぱ”と言う言葉を聞いた事がない。





わかってるから聞かないのかな…聞いたら私が困ると思ってるのかな?





「お茶飲まなくて大丈夫?」


「だーじょぶ!」


「トイレは?」


「だーじょぶ。あしょぼ!」


「遊ぼっか。」





グイグイと手を引っ張られ、子供用プールに足をつける。





「ちゅめたいね〜。」


「ねー。」





今日はたくさん遊んで、楽しんでいっぱい笑ってね。