「ちょっと芳人! 何してんの?」


しかし芳人は非情だった。
彼は智沙の方に見向きもせず、こう言った。


「花凛、ね。…ちょっとこれから、俺と良い事しない?」

「えっ、人待ってるんですけど…」

「行こう」


そう言って芳人は強引に花凛の手を取り、歩き出そうとする。
当然、智沙は黙っていられなかった。


「ちょっと待ってよ!芳人ってば!」

「誰アイツ。あんなブッサイクな女、知らないし」

「なっ…」


智沙をチラ見して毒を吐いた芳人に、智沙は言葉を失った。


「行こう」




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