「何で? どうして?」


かおりの焦った質問に、芳人はゆっくりとコーヒーを飲んでから答える。


「かおりより智沙の方が良かったから。かおり、別れよう。今の俺は智沙が良いんだ」


キザなのか純粋なのか分からない台詞を吐く芳人に、智沙は抱き付いて叫ぶ。


「芳人、大好きー」


芳人と智沙は飲み物を飲み干し、立ち上がった。


「そんじゃな、かおり」

「ばいばーい」


かおりに手を振る智沙。
芳人と智沙は、そのまま店を出て行った。


「何で…? どうして…? 酷いよ…」


かおりは携帯電話を取り出し、ボタンを押して耳に当てた。


「もしもし、春希? 急にごめんね、ちょっと出てこれる…?」




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