男の子がバランスを崩して、そのまま滝つぼに落ちそうになる。


危ない!


そう思った瞬間だった。
男の子に向かって、手を伸ばす。


間にあって!


次の瞬間。
目の前にいたはずの男の子はどこにもおらず、薄い霧が辺りを覆った。


あ――――……
落ちる。



「幸姫!?」

一瞬、母が走ってくるのが見えたが、すぐにその姿も見えなくなる。

「母さん!」


そのまま幸姫は滝つぼへと落ちていった。