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「うわぁ…。これは酷いっすね…」

新人刑事の伊藤は床に転がる一つの遺体を見ながら顔を歪ませた。
今にも吐きそうに口を押さえる。


「本当だ…。これはひでぇ…」

その上司でベテランである渡辺でさえ思わず遺体から目を離したくなってしまう程、その遺体は無残な程痛みつけられていた。

首には鎖で繋がた首輪。

目に刺さった数えきれない針。

縫われた口。

体もあちらこちら縫われており皮膚は引っ張られ、破けているとこもある。

表情すら判別できないが…これは恐らく生きたまま付けられた傷、きっと信じられない恐怖だったに違いない。


「こっちの遺体は笑ってますね…」


すぐそばにあったもう1つの遺体は優しく微笑んだまま眠るように横たわっていた。

胸にナイフが刺さっているがそれ以外に外傷はパッと見、見られない。

それに、ナイフは自身の手で持ったままである所から見れば自殺だろう。




発見された当初、この部屋は密室で、中から鍵が掛かっていたそうだ。

と言うことは…
この可愛いらしい少女が、もう1人の黒髪の少女を殺したのだろうか?


「二週間前の口が切断されていた遺体との関係性があるかどうか調べてくれ」

「はい!」


「いったいこの部屋で何があったんだ…?」




これは歪んだ愛がもたらした悲しい悲しい恋の物語ーー。

…end…