四月になれば頻繁に顔を出せなくなる。

その言葉どおり、その後月が変わると遊水はぱたりと姿を見せなくなってしまったが、絶妙のタイミングで残された嬉しい言葉のせいか、不思議なことに私には不安が全くなかった。

会えないことは寂しかったが、

どうやら着地点が見つからないまま、あれから私の心は舞い上がりっぱなしだったらしい。


恋は盲目である。


仕事が忙しくなる。

その仕事というのが何なのか。
私は金魚屋の仕事だと信じて疑わなかった。

後になって考えてみると、もっと他に──私は、四月から忙しくなる仕事というものをよく知っていたのだが……


気づけなかった。


気づけるはずもなかった。



偽りの水の中で、ゆっくりと泳ぎ続けて──

私たちのびいどろの世界には、着実に崩壊の時が近づいていた。