それでもなんとか指を両手で押さえながらボタンを押した。
素早く耳にケータイを近づける。
1コール、あたしの胸が高鳴り始める。
2コール、不安とともにドキドキが激しくなる。
3コールの途中でプルルルルと言う音が消えた。
繋がった!!
「直っ!「プーッ…プーッ…」
…………切ら……れた。
ようやくした決心は簡単に砕かれた。
あは…は……。
そうだよね……。直矢にとってあたしは愛しい人じゃないんだ。
わかってた……。わかってた……けど
「直………矢ぁっ」
小さく呟いたあたしの声は誰にも届くことはなかった。