唯抖はあたしと宇津井を見て、大声で叫んだ。


回りの目線が一斉にこっちに集まる。



「なんだよ唯抖。大声出すな。うっせぇ」


宇津井は仕事をほったらかしにしてこっちへ走ってきた唯抖を見ながら言った。




「なんだよじゃないよっ!なんで!?なんでっ!?」


唯抖は元々大きい目を更に大きく開き、あたしと宇津井の手を指差す。



…あっ。

まだ手、握られてたんだ…。



あたしは離そうとすると、宇津井は握る力を強め、あたしが逃げられないように手を握った。



……ドキっ…


不意に心臓が反応した。



「別にいいじゃん。俺らも入るから」


宇津井は口をポカーンと開けてる唯抖をほっといて、すたすたと列の後ろに歩いて行った。


…もちろん、
あたしも連れて。