宇津井はあたしを抱き寄せ、小さい声で言った。



「…へっ?」


「い、今、こっち見んじゃねぇ。おら、行くぞっ」


宇津井はそっぽを向いたまま、あたしの手を引っ張り、保健室から出た。




…強引で、

甘いキス。



淨弥とは、

全然違うキス。




正直、
すっごくドキドキしてる。


あの噛み付くようなキス、

――くせになりそうだ。




でも……

分からない。



あたしは――

宇津井のこと、友達としか思えなかったから。