笑うのと同時に、少しだけ瞳が潤んだ

嬉しいのはきっと、今まで自分を無視していた忍が、気にかけてくれたから


「僕は別に、君のために言ったわけじゃない。・・・勘違いしないように」


誤魔化すように、忍は閉じた本を、再び開く


「逆さまですよ?」

「・・・・・・うるさい」


睨まれて、月子は少しだけ思う


(・・・・・・これからもここで、きっとやっていける)


園村の家も、間違いなく、彼女の【家】だから・・・