いくら欲しいと問う櫂斗に、
男は前金で200、
やった時点で300と答える。

足がつくから現金で
用意してくれと付け加えた。


櫂斗はそれに対して、
いいだろうと頷いた。

そうして今度は丁寧に
胸ポケットから取り出した写真を
テーブルの上に置いた。

足先に写真を置かれた男は
仕方なくテーブルから足を
下ろして写真を覗き込んだ。


「へぇ、美人だな」

興味深げに男の目が妖しく光る。

「さっきの男と一緒にいるはずだ
…彼女は傷つけるな」

櫂斗の鋭い眼光にも男は
怯む気配がない。

ククッとのどに掛かった笑いを
漏らしながら、了~解、と呟く。

適当な言い方に本当に
わかっているのか、と言って
やりたくなったが櫂斗は黙って
立ち上がった。

「後の詳しい話はその女が話す」

凛子を顎で差して部屋を
出ようとすると、
この女は好きにして良いわけ?
と男が櫂斗に声を掛ける。

そいつは人間だぞ、と
櫂斗は顔をしかめた。

俺も人間だよ、と男は声を立てて
笑う。